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2013.01.31

さういふ笑ひは僕には困る 高見 順

そういう笑いに僕は困る

  そういう笑いに僕は困る
  見知らぬ女の背から見知らぬ幼児が僕に笑いかける
  僕も笑い
  僕は泣きそうになる
  あんまりこの世にははそういう笑いがなさすぎるから
  あんまりこの僕にはそういう笑いが
   恵まれなさすぎるから
  そういう笑いに僕は困る
  天使の微笑に他ならないのだから
  そういう笑いはうれしすぎ
  そういう笑いは僕を苦しめる
  ここで僕が心のままにわあわあと
   泣きだすことができたならばいいんだが
  泣いては幼児を泣かせてしまっていけないし
  僕も人がいっぱいの電車の中では泣けもしないから
  僕は笑いつつ苦しくて困る
  そういう笑いに僕は困る

(高見順「樹木派」より)

そういう笑いに困る時と、あっけらかんと変な顔できちゃう時があるよなぁ。

そういう笑いに泣きそうになるであろう友達の顔と、もっと笑い返せる開放的心の友達の顔がうかぶんだよなぁ。

この詩は『あなたのこころの形、さわってみたらこうなっているよ、いいじゃん、ちゃんとありのままを保ってね』って言われてるみたい。そつのない球体であらねば、と知らぬ間に凹凸をねんどで埋めてしまった自分に、本来の凹み出っぱりを再認識させてくれる詩。

この作者の高見さんはガンでなくなりました。昭和40年に。

病床ではこんな詩も。

『愚かな涙』

耳へ
愚かな涙よ
まぎれこむな
それとも耳から心へ行こうとしているのか

寝ていると、涙がスーっと耳に入ってしまった経験がありますか?わたしはあります。
それを、涙がそうしたかったかのような。涙の訴えを聞いて欲しがっているような。
あの、経験、ワンカットを、そんなふうに切り出せるとこがすごい。
日本人で良かったと、おもうわけです。

おやすみなさーい。
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